あとがき
 梅花の巻は、平成249月から252月にかけて、岡山県倉敷市玉島の円通寺講話会にてご提唱されました。 

梅花には、道元禅師の師、如浄禅師の偈が多く出ています。 梅花の言葉通り、美しい巻です。「老梅樹」の偈を皮切りに、如浄禅師の梅花の詩偈八編、 法演禅師の梅花の偈一編、太原浮上座の悟道の偈一編が収められています。

この梅花の巻で道元禅師は何を私達に伝えているのかについて、貫道老師はご提唱の随所で述べられています。「一般の人は、良い詩だ、上手く表現してるな、位にしか思わない。如浄禅師の真意を理解しているのは、道元禅師只一人ですね。さすが如浄禅師の法を嗣がれた方です。」
 「
如浄禅師は漢詩を読んで、日常の一々が詩材として、何もかも自分自身の材料として、仏道の真意をしめしている。道元禅師は如浄禅師の真意を読み取り、梅花を教材に違った展開をされている。如浄禅師道元禅師は、自分自身のものの上でつかって、実証して来られた。」と話されています。
 その仏道の真意として示される内容について、「事実に参ずると、自己を忘ずるとか自己を離れるとか出て来ますが、事実に参ずると自分の考えるような事なんか皆どっかにいってしまう。はじめから自分らしいものはすっかり無しに生活する、その時の様子に学ぶ、と言う事が説かれている。道元禅師も如浄禅師もそれを実証して生きられた。」その様子が、詩偈で梅花の姿を借りて表現されています。

貫道老師は、別の処でこの自分らしいものの無い活動の様子を、「道、悟りの内容ですね。」と述べられています。道元禅師が梅花の巻では悟りの上にある人の在り様が説かれていて、それを実証して生きられた道元禅師は、正法眼蔵として私たちに残されました。また同じ様に、この梅花の巻の真髄を私達の説くことが出来る貫道老師もその事を実証され私たちに伝えていると思います。

老梅樹の処で、「命は断ち切られたらなくなる。人間の命も教えも教育も生きている私達がつなげて行かなければならない。」と話されて、若くして亡くなられたお弟子さんのお話をされている。「この修業をしていて良かった」と、最後まで自分が死ぬ様な気がしないと、生き生きとして青年のお話は、涙せずには読めないほどです。時間、善し悪し、幸不幸を超えた命の在り様が展開されています。

 貫道老師の語句解釈の正確さは比類無きものがあります。道元禅師の真意を読み取る事ができる、日本でも滅多に出会う事が出来ない老師のご提唱は、是非とも形にし残させて頂きたいと思いました。

 生涯をとおして、全国各地で正法眼蔵をご提唱される老師の伝法が、より多くの皆様に届くことを願って、この本を作らせて頂きます。
 
書き起こし作業を始めた当初から、原稿点検の労をお取り下さり、ご指導を下さっている井上貫道老師に、深く感謝申上げます。           二〇二〇年八月             龍田 しづか 記
                       

著者略歴

井上貫道(いのうえ かんどう)老師 略歴 

1944年、静岡県浜松市生まれ。井上義衍・芳恵の五男。1953年に得度。曹洞宗準師家、少林寺東堂。発心寺専門僧堂を皮切りに大本山総持寺特別専門僧堂送行後、袋井市可睡斎役寮として長年務める。少林寺24世中興開山。10代で自覚し研鑚を続け、後に義衍老師より印可証明を受ける。東京、静岡、関西、岡山など各地の坐禅会に指導に回っている。

 

参禅会情報サイト

坐禅の仕方と悟り,見性,身心脱落:井上貫道老師の庵まとめサイトhttp://zazen.blog.jp/
ブログ 正法眼蔵を学ぶ   http://syobogenzo.blog.fc2.com/

井上貫道老師神戸坐禅会  https://www.rakunomori.com/zazenkai/kandouroushi/

井上貫道オンライン禅会   https://kochizazenkai.jimdofree.com/ 
Shobogenzokando
blog    http://syobogenzokando.livedoor.blog/

 

著書

〇 『少林寺史』

〇『げんにーび』現成公案提唱録(定価1,000)(通信販売:本代と送料込1,400円を現金封筒にて少林寺まで)

〇 真実、悟り、禅修行とは(1)道元禅師『学道用心集』『普勧坐禅儀』、黄檗希運禅師『伝心法要』提唱録』(井上貫道提唱、2016年)アマゾンにて購入可能

〇正法眼蔵 三十七品菩提分法提唱録 ISBN アマゾンにて購入可能

 

e-book
以下amazon にて購入可能

〇正法眼蔵梅花提唱録」

〇自証三昧

〇大修行

〇三十七品菩提分法提唱録 第一部
〇三十七品菩提分法提唱録  第二部

〇三十七品菩提分法提唱録  第三部
Dogen’s Essays

Shobogenzo The Four Abodes of Mindfulness  Advocated by Kando Inoue